恋人ってなんぞや

最近Aceコミュニティであったり、Discordに立てたサーバーであったり、大学の友人たちと話したり愚痴を聞いたりと恋人とは、という話がよく出てくる。私にとって恋人とは呪いの言葉だった。「人としておかしい」とまで言われたのだから、ある意味当然かもしれないが。

 

私には過去3人の"彼氏"がいた。1人目は大学1年目、1ヶ月も経たず、顔を合わせたのは数回程度の男性から酔った勢いで告白された。きっと異性に優しくされる回数が少なかったのだろう。私は彼に胃薬を渡してあげた程度事と、全学部合同授業で同じ教室に割り振られた事と、Twitterのアカウントで繋がっていたくらいの仲の男性だった。

私は「私は好きということがわからない、あなたの好きには応えられない、申し訳ないがあなたの期待には応えられない」と断ったつもりだが、相手の押しが強く「それでもいい」というので人生経験のうちと思い付き合い始めた。しかし、2週間経つ頃には友人の前で泣きながら「もう付き合うのは無理だ、なんだかわからないが怖い」と言っていた。手を繋いだことしかないまま別れてしまった。

 

それから一年経ち春、私はサークル活動に参加するようになっていた。1年目は最低限の活動にしか参加していなかったが、追いコンの際に「人が足りなくて赤字だから来てほしい」という連絡をもらい、ああこういう活動ってもっと参加しなきゃいけないんだなぁ。と思い部室に顔を出すようになっていた。

後輩の中で1人、やたらと懐いてくる男性がいた。悩み事があるから相談したいとも言われた。同じ心理学部の先輩だから、という理由だろうと甘い考えで相談に乗り、結局我が身を滅ぼしてしまった。

相談内容は「彼氏がいる女の子を好きになった。別れると言われてはいるが、その様子が見られずつらい」とのことだった。私は「新しい人を見つけるか、その子ともっと話し合いをするしかないんじゃないか」と言った。恋愛のことなどさっぱりわからないので雑に相談に乗っていた。そのうち彼は、私のことを好きだと言い出した。相談に乗っているうちに好きになってしまう、とか聞いたことあるなと思い了承した。それがバカだった。

彼が私にしたことはDVであった。その一言に尽きる。避妊しない、頼んでもしない、金を持たせてゴムを買いに行かせても私に付けさせようとして失敗させてゴム無しでする、次に会った時には「部屋に来た男友達が水風船みたいにして遊んだからもうゴムはない」と言い出した。添い寝だけしたいと呼び出され、生理終わってないから本当に添い寝だけだよと言った日に襲われた。本気で拒絶したつもりだが、腕力が足りず伝わらなかったようだ。決して大柄ではない彼の体を自分から引き剥がすことはできなかった。終わった後帰ろうとすると寂しいと言い出すのでそのまま一緒に寝ることが多かった。バイト終わりで疲れているのに呼び出される日もあった。何度か遅刻をしたし、腕を掴んで「寂しいからまだ行かないで」と引き止められたこともあった。そのうち私は一つの授業の出席が足りず、留年が決まった。デートでカラオケに行った際に、すごく寄り掛かってきてまるで押し倒すような体勢になった。嫌だと言ったのに押し倒された。そこへ私服警察官が入ってきた。最初に行った言葉は「大丈夫?パンツ履いてる?」だった。私はようやくそこで「周囲から見ても異常なんだ」と分かり、半ば無理やり別れた。実家で頭冷やしてこいと言いつつLINEを無視し、周囲に相談して別れざるを得ない状況を作ったのだ。

 

そしてその相談した相手から告白された。当時の私はもうボロボロだった。支えてくれるなら誰でもいいと思ってたし、相談していたから彼よりも酷いことはしないだろうと思っていた。しかし彼はモラハラだった。思い返せば褒められたことは「食べ終わった皿が綺麗だね」くらいだ。箸の持ち方がおかしいのが恥ずかしいから直せと言いつつ自分はカレーをぐちゃぐちゃに混ぜて食べるような男だった。つらいことがあったときに泣きながら愚痴を言ったことが何度もあったが、それが彼には「甘えさせてあげた」のだそうだ。彼を肯定してあげないと不機嫌になる。口答えすれば私がヒステリーを起こしたと既読無視や未読無視。その割に理詰めで話すとキレられる。散々言い訳した上で「確かに自分が悪いかもしれないけど忘れてたなんて言いたくない」と言われたことがあった。知らん。正直に忘れててごめんと言えと思った。私が言い訳しようが聞かないくせにとどんどん冷めていった。彼が悪いことをしたとき、私はそれを咎めた。しかし、彼はそれがお気に召さなかったようだ。「親友は虚勢を張ってるんだろと言って理解してくれたのに」と言い出した。しかし悪いのはお前だし、後悔はしてないと言い出したのもお前で、それを咎めるのは恋人として最低限やらなければならないことだろうと思っていたが、私がまたヒステリーを起こしたと放置されて終わった。典型的な精神的DVだ。

彼とデートするときは決まって泊まりがけだった。そして泊まった日は性行為をしていた。しかし、それが嫌になって少しずつ距離を置き、生理やら何やらを言い訳に半年ほど性行為をしてない期間があった。しかし、その期間中にクリスマスにプレゼントを互いに買って、カフェでケーキを食べて帰ったごく普通のありふれたデートをしていた。にも拘らず、バレンタインの日に喧嘩をした際「半年もデートしてないんだよ!?」とキレられた。それが別れを決めた決定的な瞬間だった。

あんなに泣きながら相談したのに、彼にとってもまた、性行為を含めなければデートとは呼ばないというような価値観の人間だったのだと失望した。 

 

これが今までの"彼氏"たちだ。

どうだろう、この引きの悪さは。自分でもびっくりするほどダメ男しか引いてない。まともな男が1人もいない。しかも、誰1人私からアプローチなどしていないのだから驚いたものだ。私が受動的に生きた結果がこれだった。恋を知ろうと、好きを知ろうとした結果がこれだ。だからAceやAroに「試してみればいいのに」と言う人には近寄らないようになった。2度もDVを受けてまで試す価値はあったのだろうか。

 

昨年春、住みづらい場所から住みやすい場所に引っ越した。理由は単純明快、生活のしやすさと就活のしやすさの問題だった。そのため、私の友人たちも私の近所に引っ越して来ていた。今の彼女はその1人だ。引っ越しを手伝ったりもする仲の友人で、入学から留年してもなおずっと友人として接してくれていた人だった。

 

1人で生きるのはなかなか難しい。私のように発達や精神疾患があれば尚更だ。彼女は友人たちの中でも私のかなり近所に住んでおり、一緒に買い物に出たり、ご飯を食べたりするようになっていった。友人になって3年経って、私の性格がかなり矯正されたこともあり、互いと一緒にいるととても過ごしやすいということに気付いた。留年して同じ教室で授業を受けなくなって少し距離を置いてしまっていたが、生活スタイルや考え方や価値観が非常に近かった。というより一緒いることが楽な相手だったのだ。気を置けない仲の友人とはこのことか!という感覚であった。その頃からTwitterで「八尋 颯貴」もとい千尋のアカウントがあったため、ネットでの交友関係も広がった。私にとって居心地の良い空間がどんどん広がっていった。

 

元々「30になってなくても結婚してなかったら結婚しよ」とは言われていたが、彼女はこれを25だったり26だったりにしていろんな人に言っていたので私は最初最終手段だった。最後の最後ということだ。それくらいの距離感だったはずなのに、気付いたらペアリング作るか!と言い出されるほどに距離が近くなっていた。彼女にとってはペアリングは友情の証でもあるようだし、良いかなぁという気持ちでペアリングの注文をした(ちなみにネッ友とトリオリングも作った)。その頃からもう愛着が湧いていた。この人となら付き合っても良いなぁという感覚にはなっていた。

彼女も拠り所が欲しかったのだろう。気付いたら付き合い始めていた。私の性的指向性自認も全部理解した上で、私も彼女の性的指向性自認を理解した上で。

 

おそらく私から彼女に対する恋心はない。ただ愛着が湧いただけだ。友人ではなく家族になりたいなと思える距離感に彼女が当てはまっただけだ。彼女ができても、恋とは何かわからないままだ。

 

ところで話は変わるが、友人が最近彼氏の愚痴を言う。聞いていると、彼女を1人の人間として尊重していないように思えて腹立たしい。恋人とはいったいなんなのだ、アクセサリーか?

恋人とは自分勝手なものなのだろうか。彼女が元彼の愚痴を言う時も相手の自分勝手さが見える。

私にとって恋人とは結婚相手の見定めとしか思ってない。自分勝手が許される相手というのは楽かもしれないが、それを何十年も積み重ねることの意味を分かっているのだろうか。相手に負荷をかけ続けることの意味を分かっているのだろうか。どんどん分からなくなっていく。

 

恋人とは?私にはまだまだ分からない世界だ。